「103万円の壁」の引き上げは本質的な解決にならない(2025年5月10日新宿駅南口街宣報告) 

 リバタリアン減税会は、去る2025年5月10日の夕方17時半頃より1時間半程度、新宿駅南口で街頭宣伝を実施しました。4人のスピーカーが登壇し、それぞれリバタリアンの立場から、国家による富の強奪(課税)に反対する主張を展開しました。 

 我々はかねてより「減税」を主張してきました。昨年末の衆院選で「103万円の壁」の引き上げを公約に掲げた玉木国民民主党が大幅に議席を伸ばしたことで、減税を求める世論が可視化され、大変ホットなトピックになっています。当日は「リバタリアン減税会」の幟を掲げ、ビラの配布を実施しましたが、立ち止まって話を聞いたり、ビラを受け取る聴衆の多いことが印象に刻まれました。 

 本稿では、当日登壇したスピーカーの発言を紹介します。皆さんと一緒に減税について考えていきたいと思います。 

 以下は参加者の声です。 

  • Aさん 

 皆さん、こんにちは。我々は、リバタリアン減税会です。いま新宿駅の前をご通行中の皆さんに、リバタリアンの立場から、減税についてお話しさせて頂いています。 

 皆さん!「103万円の壁」を、178万円に引き上げるだけで、本当に良いんでしょうか?実は、103万円の壁を178万円に引き上げても、それはただの対症療法なんです。それだけでは問題の本質的な解決にはなりません。 

 いま、物価の高騰、インフレが凄い勢いで進んでいます。このインフレを止めない限り、103万円の壁を178万円に引き上げても、何の意味もないんです。インフレが進んだら、178万円を200万、300万とどんどん引き上げていくんでしょうか。そのために毎年法律を改正するんでしょうか。全く意味がありません。もっと本質的に問題を解決しなければなりません。 

 それは、何か。政府によるインフレ政策を止めさせることです。12年前に安倍晋三首相が始めたアベノミクス、中央銀行による異次元の金融緩和。その結果として我々はいま、インフレに苦しんでいるんです。お米が高い、野菜が高い、卵が高い、電気代も高い。 

皆さん、日本円を持つのをやめましょう。皆さんが日本円を持っている限り、その価値はどんどん目減りしていきます。ゴールドやビットコインを持たないといけないんです。アベノミクスが始まってから、日本円の供給量は6倍になっているんですよ。市場にある財やサービスの量が変わらないのに、どんどん日本円の量だけ増やしたら、通貨の価値は落ちていくに決まっています。 

 国家のような特定の主体が供給量をコントロールできない資産を持たなければ、皆さんの資産を守ることはできません。ゴールドやビットコインを持ちましょう。日本円を手放しましょう。そして、103万円の壁を178万円にするんじゃなくて、それは対症療法です。もっと本質的な、国家によるインフレ政策に反対していきましょう。どうもありがとうございました。 

  • Bさん 

 5月10日夕方、土曜日の新宿南口に「国家解体!」の声が響いた。リバタリアン減税会は日本という国家の中枢たる東京で国家によるあらゆるものの収奪を弾劾する行動を展開した。 

 私はDJとして賑やかしで反体制的な音楽をかけていたが、それもあってかこちらに目を向けたり、ビラを受け取る者も主張の一般における突拍子のなさにしては多かった。 

 クフィーヤを頭に巻いていた私に、英語で「ムスリムか?」と訪ねた外国籍の人がいた。「ムスリムではないが、パレスチナに連帯する者で、リバタリアンとして街宣をしている」と答えた――「リバタリアン」といえば「排外主義」と関連付けられることが多いが、それは右派新自由主義者に換骨奪胎された「リバタリアニズム」だ。我々は侵略を憎む。なぜなら、我々の財産が税金として国家に奪われ、我々が望みもしない侵略に我々の財産が使われることが不当であるからだ。街宣でそう叫ぶスピーカーに確かに通行人の関心の目は向けられていた。 

 国家は、税金により財産を奪い、2月の京大生7名逮捕や4.10兵庫県庁弾圧に見られるように司法により身体(の自由)そのものまで奪う。「国家あればこそ国民の財産と自由が守られる」という虚構を拭うため、我々は今後も活動し続ける。 

  • Cさん 

 私は1年前ほどからリバタリアンとなっており、アナーキーを機能させる実験として全メンバーに管理者権限があるDiscord鯖を運営していたが、その中での議論や思想の研究だけでは、国家を倒せないし何も変えられないことに焦燥感を感じていた。そんな中、今回初めて私はリバタリアン運動に参加する機会を得た。 

 私が最初に担当した仕事は旗持ちであった。当日は風が強く「リバタリアン減税会」の黒黄旗がよく翻った。 

 その後、私は2回ほど発言の機会を頂けた。私は主に以下の主張をした。 

「全ての個人には自己所有権が生まれながらにある」 

「税金は泥棒で自己所有権の侵害。国家は解体されるべき」 

「なぜ国家が存在することが前提なのか。歴史上、国家を持たない民族も多くあった」 

「わずか数百の少数の議員で一億数千万の人民が『やってはいけないこと』を法律で決めるのはおかしい」 

「福祉国家の官僚制は冷たい。本来なら手を差し伸べる――相互扶助が出来るはず」 

 即興で主張を述べるのが理想であるが、私が街宣初体験とあって少し緊張したり噛んでしまうことがあったので、次回は聴衆に効果的に訴える発言を事前の考えた台本を用意したいと思った。 

 全体的に、閉塞感や無力感を打ち破る、革命的でラディカルな高揚感を感じた。権力構造を打倒し、本来すべての人民に平等にあるべき自由――自己所有権を取り戻すために、私は本格的にリバタリアン運動に身を投じることを決めた。 

 参加者のコメントは以上となります。 

 今後も街宣を行います。みなさん、一緒に減税を成し遂げましょう 

(リバタリアン減税会)