編集より
本稿は『人民新聞』2026年3月20日号掲載記事の転載である。以下のページより閲覧可能。 なお、転載にあたり、一部文言を修正している。
https://note.com/jinminshinbun/n/n1ed9f4a0ae4e
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先日の衆議院選挙でチームみらいが11議席を獲得した。党員数と議席数の比率に訝しがる声を挙げる人も多いが、本稿ではチームみらいを取り巻く政治状況について物申してみよう。
デジタル・デモクラシーへの期待はそれほど新しいものではなく、投票(所)の電子化、議論やキャッシュフローの可視化(サンキー図が用いられることが多い)、AIの活用等が渇望されることが多い。ただ、いずれも、議員の怠惰、セキュリティ上の問題、「知られてはまずい不祥事」の存在ゆえ
に、特に日本国国会内での改革は遅々として進んでいないようだ。さて、チームみらいは特に見える化に熱心であり、日本国政府の歳入出の流れを提供している。しかし、この見えるようになった――正確には見やすくなった――情報は、あくまで政府等の機関が公表したデータを活用しているだけであ
り、非公表のデータに手が届くことはない。デジタル・デモクラシーがいくら進展したとしても、それだけでは官房機密費の内容が公開されるとは限らないのだ。ここにデジタル化の進展の限界がある。
さて、日本――というよりもほとんどすべての国――では政治の政策化が著しい。現行体制を問うこと、望ましい将来の体制を問うこと、階級的対立、そういった政治的なものの営みは体制内の統治技術、つまり政策的なものの営みに転換されて久しい。その結果、(中位投票者定理(1)等の背
景もあり)各政党の主張が均質化している。最早、自民党(と維新)こそが与党というよりも、政党が「自民党化」するといっても過言ではない状況なのだ。第二自民党、第三自民党といった言葉は、まさに政治の政策化、政党の「自民党化」を象徴している。
体制そのものを問うことなく、統治技術としてのみデジタル・デモクラシーを推進するチームみらいもまた、政策化・「自民党化」のシンボルとして機能している。しかも、(本家の)自民党にとってチームみらいの勃興は渡りに船である。先にも述べた通り、デジタル化を推進して政府関係の情報が
「見える」ようになったとしても公開される情報は政府にとって都合のよいものであるため、既存勢力にとって都合のいい情報は拡散され、都合の悪い情報は見えないまま人々の認知の対象から外されるようになる。さらに、チームみらいは道具としてのデジタル・デモクラシーのみを推進している集
団ではなく、具体的な政策提言も行う。ワンイシュー政党が実際には複数のイシューによって成り立つのと同様で、議会内である程度の勢力を確保するためには複数のイシューに訴えかけざるを得ないのだ。その結果、各政党の主張は似たり寄ったりになる。話が少し逸れたが、チームみらいは
消費税減税に反対し、社会保険料の(実質的な)引き下げを主張している。増税に伴うレントシーキング(2)・裁量の増大・食い扶持の増加に反するため、与党にとって減税はなんとしてでも避けたい事柄である。昨今の政治情勢において、減税反対を掲げるチームみらいは与党にとって心強い精神的支柱
となるだろう。
デジタルかアナログかといった手段の吟味ではなく、体制を疑い、権力を廃止する姿勢こそが重要である。政策の政治化へと突き進んでいこう!
(1)
各投票者の選好に基づいた各人にとっての最適点を一直線に並べたとき中央値となるような最適点を持つ投票者のこと。多数決において、中央値(付近)の意見が多数となりやすいことから、中央値(付近)の意見が採用されやすい。
(2)
民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うことで、自らに都合よく規制を設定したり、または都合よく規制の緩和をさせるなどして、超過利潤(レント)を得るための活動のこと。
(前川範行)
