フランス学生組合&ZADとの国際連帯

 6月末から7月上旬にかけて、我々は国際連帯のためフランスに派遣された。フランスの学生組合Solidaires étudiant-e-s – syndicats de luttes(学生連帯 – 闘争の組合、以下「ソリデール」)大会に出席し議論と国際決議に参加したほか、空港建設阻止闘争やパリのナンテール大学の学生組合とも交流した。

ソリデール第10回大会

 ソリデールは過去30年を闘い抜いてきたフランスの戦闘的学生組合である。3年に一度開かれる大会の第10回では国際連帯が試みられ、我々の所属する全国学生行動連絡会(以下「学生行動」)のほか、ウクライナ・トルコ・ポーランド・ベルギー・カナダ・ドイツの学生団体が招待された。
 労働組合運動と反軍国主義について公開での国際討論が行われ、我々は後者に参加した。毎年8月6日に広島で行われる”平和記念式典”(その欺瞞性は本紙でも今後の号で詳述する予定である)に言及し、”平和”がナショナリズムの道具として軍国主義に利用される日本の特異な状況を紹介するとともに、世界の反戦運動の最前線での我々の闘いをアピールした。また、ケベックからウクライナ・トルコまでのヨーロッパの同志が国際連帯に取り組む中、日本の学生運動が地理的にだけでなく、政治的にも国際的な運動から孤立している傾向を総括し、本大会を起点に国内・国際の両面において運動のネットワークを構築する必要性を強調した。
 その他、国際交流を通して気づいたことをいくつか述べておく。
 日本においてはリバタリアンというとアメリカ発祥の右派的なリバタリアニズムと同一視されることがほとんどであるが、フランスではヨーロッパ系の左派とアメリカ系の右派の違いが明確に意識されている。左右の両面が存在することを意識した上で両方を包摂するスタンスを取る我々にとって、これは重要である。
 戦時下のウクライナから来た同志は反戦的な文言に繰り返し懸念を示していたのが印象的だった。帝国主義に抵抗するために武装して戦わなければならない状況下に生きている彼らにとって、反戦が反帝国主義よりも優先されることがあってはならないという視点である。日本の左翼は反戦を前面に押し出すことが多く、これは帝国主義的な大国という条件下での実践としては実に正しい。一方で理論面においては、反帝国主義をこそ闘争の目的と位置づけ、その主要な部分として反戦を位置づける視点は重要だろう。この視点がなければ、戦争を避けるために帝国主義に妥協したり、国家の一部にすぎない憲法に期待したりすることになりかねない。
 ソリデールはフランスの主な戦闘的労働組合のひとつ、Union syndicale Solidaires(以下「USS」)に加盟している。ソリデールの意思決定や組織運営は学生により行われており、USSの関与はほとんどない一方、資金面などでの援助を受けているようである。我々の学生行動は労組と連携しておらず、これが労学連帯の欠如による視野の狭さ、運動の広がりの弱さ、組織の持続可能性のなさ、資金の乏しさの原因であると感じた。
 ファシストの脅威が日本よりも強く意識されているように感じられた。まず運動の現場において、ヨーロッパ人は日本人よりも政治的に活発であるというのはイメージ通りであるが、これは左右を問わないようだ。左翼学生運動に伴う主なリスクの一つとしてファシストの襲撃がしばしば言及された。もっとも彼らのいうファシストは日本よりも意味が広いようで、反共とファシストがほぼイコールらしい。他方国政レベルにおいても、現実味を帯びてきている極右政権が誕生すれば今のまま活動を続けることは難しくなるかもしれない、といった懸念が聞かれた。日本では既に極右政権が誕生しているわけだが、危機感は彼らほどでないように思われる。

ソリデール国際決議

 各国から結集した学生団体は大会にて国際決議を採択した。国によって大学の条件、組織の現状、弾圧の状況などは異なるが、直面している根本的な問題―新自由主義、軍国主義、差別―は共通しているとの認識から、今後の国際連帯のさらなる発展を意図するものだ。
 決議文とその日本語訳は本文末尾に掲載したので見てほしい。
「campism」(陣営主義)への反対はウクライナの同志の提案により盛り込まれたものである。多くの左翼がロシアを批判しウクライナへの連帯を呼びかける一方で、アメリカ憎さのあまりロシアに同情的な、あるいは批判を避ける態度をとる者がいるのも事実である。これに限らず、特定の国家の行為に反対することがその敵国の擁護(ベネズエラやイランは権威主義国家だからアメリカによる侵略は正当化されるとか、中国の脅威から日本の勢力圏を守るために軍拡は必要だといった主張)と結びつきがちな国家主義社会において、「アメリカ、中国、ロシア、日本、その他いかなる国家によるものであれ、帝国主義には反対」と強調する意義は大きい。
 Universities At War(以下「UAW」)は学生団体の国際的ネットワークである。学生行動を含め、本大会に参加した学生団体の多くはUAWに加盟しているが、これを機に団体間の結びつきは実質的なものとなり、国際的な学生運動はますます発展することだろう。

アジールZADと政治的土壌

 フランスにはZone à défendre(守るべき土地、以下「ZAD」)と呼ばれる地区がいくつか存在する。我々は特に有名な、ノートル=ダム=デ=ランドのZADを訪れた。同地は空港建設計画に反対した人たちが計画阻止のため占拠したもので、2018年には実際に計画の破棄を勝ち取ったそうだ。空港建設反対闘争という意味では日本の成田空港の建設・拡張に反対する三里塚闘争と共通しているが、その実態は大いに異なるものであった。三里塚は以前からの住民、主に農民の抵抗に各党派が連帯して闘争する場であるのに対し、ZADは反政府的な人たちがDIYで生活する場であり、闘争によって維持されるアジール(国家権力の及ばない空間)であった。むしろ熊野寮といった自治寮に近く、しかしその広大さとDIYの度合いは自治寮とは比べ物にならない。彼らはコンクリートを作り木を伐採して家を建て、作物を育ててパンを焼き、鍛冶や蒸留の設備も有していた。
 これらが特定の党派によって実現されているわけではないことも特徴だろう。一度の訪問で政治的な全容をつかむことはできないが、トロツキストからアナキストまで異なるイデオロギーの持ち主が混在しており、また単一のコミューンではなく7人程度の集団が多数存在するという。つまりアフィニティ・グループのようなものがめいめいに活動しているものと思われる。日本の非党派的な運動が一過性に終わりがちなのは、政治的な土壌がほとんどないからではないだろうか。ZADがここまで発達し、勝利し、20年にもわたって存続しているのは、活動的なグループが無数に存在するからこそできたことだろう。ZADという巨大なアジールは極めて魅力的であるが、今の日本においてはそれを建設するどころか、それに取りかかることすら難しいことは認めざるを得ない。まずはこの情勢を打開し、人的・文化的な基盤を構築しなければならない。

International Motion – Solidaires Étudiant·e·s 2026 10th congress

We, student and youth trade unions and political organisations, gathered on June 30th 2026 at the Solidaires Etudiant-e-s congress, affirm our commitment to a society free from capitalism and to the creation of a Higher Education that is accessible to all, free of charge and truly emancipatory. As such, we intend to place our action within the context of the student and social struggles that aim to bring about a profound transformation of the university system and the society that shapes it.

Our values

We declare that as long as neoliberal austerity policies remain in place, we will not be able to achieve these objectives, and that challenging these policies is a necessary condition for any real transformation of the university.
We declare that the revolution in the university will not be achieved by students alone, but also through the joint struggle of university workers—administrative, technical, teaching and precarious staff—whose working and living conditions are inextricably linked to the conditions of study.
We declare that this revolution at the university will not take place in representativity-lacking concertations and institutions, but through concrete struggle on the ground and by defending students’ rights on a daily basis, building collective power in the face of all policies that drive the commodification of higher education.
We declare that the revolution at university will not happen without putting an end to the patriarchal, misogynist, racist, colonialist, ableist and LGBTQ+phobic oppressions that permeate our academic institutions and underpin inequalities in access, educational pathways and living conditions within higher education.
We declare that international solidarity is essential to reach a common understanding of the same capitalist policies that are attacking higher education systems across the globe, to unite the struggle and build collective responses to these attacks.
We declare that the struggle against imperialism is a duty for all political organisations and trade unions, and that student organisations must play their part in building a practical form of internationalism based on struggles and solidarity between peoples and student movements.

Our political stance

We observe that the idea of an emancipatory university is under attack from all sides: from the rise of private institutions and the commodification of education, from successive budget cuts that are eroding study and working conditions, and from the intensifying repression against our organisations and the student movements that have mobilised.
We must fight together against privatisation and mercantilization of Higher Education:
Universities, and public services such as dormitories and canteens, are seen by the capitalists as an opportunity for profit. We consider that states are complicit in this liberal phenomenon, and take it as an opportunity to increase cuts in the education budget.
Militarisation of studies and research in favour of imperialism are another way to generate profits, to gain power, to colonise, to recuperate resources, to subordinate whole populations. We refuse the instrumentalisation of universities and research in favour of wars, whether it be directly in engineering or by cultural tools. We agree on the necessity of stopping states from indoctrinating youth and get them to fight for capitalist and chauvinist interests.
Nevertheless, we support popular resistance against oppression when the dominant forces makes it necessary by their actions, whether it be invasion, colonization or any kind of occupation.
We believe that international class solidarity is mutually exclusive to campism and we will not apply our anti-imperialism selectively or conditionally. We stand in support of all of the oppressed people globally and oppose all state violence, all imperialism, and all forms of oppression regardless of which state or bloc – as understood in the era of multilateralism – perpetrates them.

Our perspectives

We declare that it is only by defending students’ dignity and material rights in their daily lives and by establishing tools for struggle that enable the collective organisation of the student movement that we will be able to build a revolutionary vision and pave the way for a higher education that is accessible to all, free of charge and emancipatory.
Thus, today we are transforming the Universities At War network into a militant global student network of struggles and mutual aid, dedicated to raising the visibility and providing practical support for student struggles that share our observations and values across the world.
We invite student unions and student organisations worldwide to join this network if they identify with this declaration.
We want this network to be built alongside and with the support of the Labour Solidarity Network (ILNSS) to fulfil the cross-sectoral mission of student struggles for the emancipation of all oppressed groups.

Saint-Avertin, on June 30th 2026.
La CRUES
Gakusei Koudou
Inicjatywa Pracownicza
Özgürlükçü Gençlik
Priama Diia
Solidaires Étudiant-e-s
Union Syndicale Étudiante

国際決議 – Solidaires Étudiant·e·s 2026 第10回大会
(2026年7月7日柏葉うたす訳)

 我々、2026年6月30日にSolidaires Étudiant-e-s大会に結集した学生・青年の組合・政治団体は、資本主義から解放された社会の実現と、すべての人に開かれ、無償で、真に解放につながる高等教育の創造に向けて行動することを確認する。したがって、我々は自らの行動を、大学システムとそれを形づくる社会の根本的変革をもたらすことを目指す学生運動・社会運動の文脈の中に、位置づけることを意識する。

私たちの価値観

 我々は、新自由主義的緊縮政策がある限り、我々はこれらの目標を達成できないこと、そして大学のいかなる実質的変革においてもこれらの政策との対決が必要条件であることを宣言する。

 我々は、大学における革命は、学生のみによってではなく、労働・生活条件が学習条件と分かちがたく結びついた大学の労働者(事務職、技術職、教員、そして不安定雇用の職員)と接続された闘争を通じて達成されると宣言する。

 我々は、大学におけるこの革命は、代表性に欠ける協議や制度の中でではなく、現場での具体的な闘争を通じて、高等教育を商品化しようとするあらゆる政策に対抗する集団の力を構築しながら、日常的に学生の権利を防衛することによって実現すると宣言する。

 我々は、大学における革命は、我々の学術機関に浸透し、高等教育における機会、進路、生活条件の不平等を下支えする、家父長的、女性差別的、人種差別的、植民地主義的、障害者差別的、LGBTQ+差別的抑圧を終わらせることなしには起こらないと宣言する。

 我々は、世界各地で高等教育システムを攻撃している同様の資本主義的政策の共通理解に向かうため、闘争をまとめ上げてこれらの攻撃に対する集団的な対応を構築するため、国際連帯が不可欠であると宣言する。

 我々は、帝国主義との闘いはすべての政治団体と組合の義務であること、そして学生団体は闘争および人民と学生運動の間の連帯に基づいて国際主義の実践的形態を構築するうえでその役割を果たさねばならないことを宣言する。

我々の政治的立場

 我々は解放の大学なる理念が四方八方から攻撃されているのを見ている:私立大学の台頭と教育の商品化という面から、学習条件と労働条件を蝕む継続的な予算削減という面から、そして我々の組織やその動員した学生運動に対する激化する弾圧という面から。

 我々は高等教育の私有化と商業化に対して共に闘わなければならない:

 大学、そして寮・食堂といった公共サービスは、資本家に利益の機会と見なされている。我々は、国家がこの自由主義的現象に加担しており、教育予算の削減を拡大する機会としていると考える。

 帝国主義のための学術・研究の軍事化もまた、利益を生み、権力を得て、植民地化し、資源を収奪し、人民全体を従属させるもう一つの手段である。我々は、工学分野において直接的にであれ、文化的手段を通じてであれ、戦争のための大学と研究の道具化を拒否する。我々は国家が青年を教化し資本主義・国家主義の利益のために戦わせることを阻止する必要性に同意する。

 とはいえ、我々は、侵略であれ、植民地化であれ、いかなる形態の占領であれ、支配勢力の行動により必要になった場合には、抑圧に対する民衆の抵抗を支持する。

 我々は国際的な階級連帯は陣営主義と両立しないと信じ、我々は反帝国主義を選択的または条件付きには適用しない。我々は世界中のすべての抑圧される人々を支持し、どの国家や(多国間主義の時代に理解される意味での)ブロックが犯すものであれ、あらゆる国家暴力、あらゆる帝国主義、あらゆる形態の抑圧に反対する。

我々の展望

 我々は、日常生活において学生の尊厳と物質的権利を守り、学生運動の集団的組織化を可能にする闘争の道具を築くことによってのみ、我々が革命的ビジョンを構築し、すべての人に開かれ、無償で解放につながる高等教育への道を切り開くことが可能になると宣言する。

 したがって、本日我々はUniversities At Warネットワークを、我々の見解と価値観を共有する世界中の学生闘争を可視化し実践的支援を提供することを目的とした、闘争と相互扶助の戦闘的グローバル学生ネットワークへと転換する。

 我々はこの宣言に共鳴する世界中の学生組合と学生団体にこのネットワークへの参加を呼びかける。

 我々は、すべての抑圧された集団の解放のための学生闘争の部門横断的使命を果たすため、このネットワークが労働連帯ネットワーク(ILNSS)と並んで、またその支援のもとで構築されることを望む。

2026年6月30日、サン=アヴェルタンにて。
La CRUES
Gakusei Koudou
Inicjatywa pracownicza
Özgürlükçü Gençlik
Priama Diia
Solidaires Étudiant-e-s
Union Syndicale Étudiante

(柏葉うたす)