編集より
8.6ヒロシマ集会実行委員会に寄せられた連帯メッセージのうち、「リバタリアン」への寄稿を希望したものを紹介します。掲載順は50音順です。
京都反戦行動
わたしたち京都反戦行動は、8.6ヒロシマ集会実行委員会が主催する抗議行動に参加された皆様に連帯のメッセージを送ります。
現在、トランプをはじめとする諸国の代表たちによって、世界は戦争状態にあります。これらの戦争は一部の権力者たちが勝手に決めたもので、多くの人々は決定プロセスに参加することができず、ただ戦場に兵士として送られるか戦禍の被害者になるのみです。このような権力者による一方的な押し付けと強制は戦争だけに留まらず、教育・労働・余暇等、人間の活動のほとんどすべてを侵食しています。さらに、権力者自身は遵法意識がなく、最早、違法であれ合法であれ自らの利益のために行動しています。
私たちは、自分たちのことは自分たちで決定すること、何の謂れもない他者を侵害しないことを重んじます。国家権力は私たちの事柄を一方的に決めつけ、無辜の人々を侵害・殺戮しているために、私たちとは相容れない存在であると断じます。さらに、国家権力の枠組みの中にある政治的・司法的な問題解決のプロセスはひどく歪曲され、参加に大幅な制限があるために私たちはそれを用いません。
以上の理由から、私たちは直接行動で広島市内で抗議の声を上げることを決心し、今回の一連の行動への参加を決断したのです。
国家権力に抗い、戦争を止める闘いは今日で終わりません。両者を消滅させるその日まで闘います。共にがんばりましょう。
全国学生行動連絡会
私たち全国学生行動連絡会は、あらゆる形態で行われる軍拡・徴兵・戦争政策に反対し、帝国日本の加害の歴史を総決算するものとしての広島における闘争に連帯することを表明します。
本会は、主に本邦の大学における学生運動の結節点となることを目指して活動する団体です。私たちは、現行の大学改革が戦争できる国づくりへの志向性を持つものであると考えています。大学の構成主体である学生は、戦争を起こさないために、そして市民社会の大いなる成果である学問を「戦争」という単一の目的に従属させないために闘う必要があります。
多くの方がご存じの通り、ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるガザ侵攻を経て、日本を取り巻くいわゆる「安全保障状況」は大きく変容しました。加えて、トランプ政権下で始まったベネズエラ・イランへの攻撃やキューバへの圧力といった帝国主義的な侵略行為、中国の覇権主義的な動きの伸張など、既存の国際秩序への挑戦は目に見える形で増すばかりです。しかしながら、そのいずれもが日本の平和主義政策を放棄する理由たり得ません。81年前の帝国主義的な侵略戦争の惨禍のなかで市民が大いに苦しんだという事実こそが、そのことを証明しているのではないでしょうか。
世界各地の学生は、経済的徴兵制をはじめとする様々な形での徴兵、デュアルユース研究の推進、秘密保護を理由とした学問の閉鎖化に反対しています。私たちもまた、81年前の惨禍に鑑みて自ら反省し、行動することによって、こうした学生たちへの連帯の意思を表明することができると考えます。
両翼が一体となって体制翼賛的に、「安全保障」の名の下で進められる軍拡政策、防衛省・自衛隊の先鋭化など、私たちが指摘すべき本邦の「戦争問題」は山積しています。今こそ戦争の惨禍の歴史に立ち返るときです。広島における闘争を私たち学生としても闘い抜くこと。それこそが、戦後81年にわたり本邦の市民社会が享受してきた平和——被侵略国に対する不誠実の上に成り立ってきた平和——を、次の世代に最も誠実な形で引き継ぐための方法の一つであると固く信じます。
東京大学学生新聞レアリスト編集部
私たち東京大学学生新聞レアリスト編集部は、戦争と社会のあらゆる側面における戦争動員に抵抗するために広島での闘いに参加します。
「新型爆弾」は決して軍隊だけによって造られたものではありません。それはアメリカの科学界を総動員して開発されたものです。これはアメリカだけではありません。日本においても核兵器や生物兵器、あるいは軍艦や戦闘機の開発に大学が動員されていました。一方では兵器が人々を殺戮し、他方では学問が戦争の役に立つものへと歪められていく。これらは表裏一体であり、あらゆる国家で起こってきたことです。学問が国家の手にある限り、学問の発展は必然的により高度な破壊の道具となり、それを正当化する虚飾となります。日本の新たな戦争は何十年も前から始まっています。日本政府はここ数十年間、一貫して大学運営への干渉を強めてきました。そこには軍事利用可能な技術の推進や、政府の意向に沿わない学者の抑圧が伴っています。同様のことが学問以外の領域においても言えるでしょう。戦争とは物理的な破壊であると同時に、そのために社会のすべてを国家に従属させることでもあります。我々はあらゆる領域において国家への協力を拒否し、それによって我々の活動の自由と人民全体の平和の両方を勝ち取らねばなりません。社会のあらゆる領域を通して連帯し、戦争を行う力をその根源から断ち切りましょう!
ビットコイン・スタンダード・インスティチュート
ビットコイン・スタンダード・インスティチュートは、8.6ヒロシマの運動に連帯し、今なお愚かな戦争を継続し、また直接・間接に支援する全ての政府に抗議します。
近代社会においては、戦争の主体は政府であります。そして政府は戦争を遂行するための様々な用途のために、財政支出を実行する必要があります。ここで、財政支出には財源が必要であります。その財源は、どうして調達されるか、と申しますと、それは徴税または新規国債の発行によって賄われるのであります。
現代の政府は法定通貨制度を採用しており、通貨に金の裏付けがあるわけではなく、中央銀行が通貨を供給しています。「中央銀行の独立」とは名ばかりで、実際には政府の強力な指導のもとにあるのが事実です。「アベノミクス」という政策によって、GDPに匹敵する巨額の国債を買い入れた我が国の中央銀行を見れば、それは明らかでしょう。
中央銀行が国債を買い入れて、政府に通貨を供給する。あるいは直接、人民から税金を取る。政府はそれで、人々の生活を豊かにする財ではなく、他国を破壊するための兵器に通貨を割り当てます。実質的な意味での成長に繋がる生産に使われることなく、市中の通貨の量が増える。待っているのはインフレです。人々が政府に対する納税のために保有を強いられている通貨の価値が、その政府によって毀損されることになるのです。
オーストリア学派の経済学者マレー・ロスバードは、インフレーションについて、こう述べました。
“政府が人々の資源を獲得するための強力かつ巧妙な手段であり、痛みを意識させにくい、それゆえいっそう危険な課税の形態である”
と。そして戦争については、
“国家の戦争は、納税者に対する侵害を通じてしか遂行されえない”
と述べています。
政府が戦争を始めるとき、奪われるのは、戦場における人々の生命だけではありません。人々の労働の成果もまた、税と通貨価値の毀損を通じて、本人の同意なく戦争の資源へと変えられます。戦争を遂行する国家の力と、通貨を独占し増発する国家の力は、別々のものではありません。
そしてロスバードは、核兵器を「その本質上、無差別大量破壊の装置」であると断じました。広島で私たちが反対するのは、ただ一種類の兵器に対して、ではありません。人間の生命と財産を、国家目的のために際限なく動員できると考える権力そのものに反対しているのです。
ビットコインは、それだけで戦争をなくせるわけではありません。しかし、いかなる政府も恣意的に増発できず、個人が自ら保有できる貨幣は、戦費をインフレーションという見えにくい課税として人々に転嫁する国家の能力に、一つの制約を与えます。だからこそ、我々はビットコインを、単なる投資商品ではなく、国家の貨幣独占を相対化し、人々の平和な交換を守るための技術として捉えているのです。
以上をもちまして、ビットコイン・スタンダード・インスティチュートからの連帯メッセージとさせていただきます。
リバタリアン減税会
私たちリバタリアン減税会は、8月6日、広島から戦争と核兵器に反対する皆さんの運動に連帯します。
一人ひとりの生命と身体は、その人自身のものです。いかなる国家も、国益や安全保障を理由として、無辜の人々の生命を奪う権利を持ちません。都市とそこに暮らす人々を一括して攻撃する核兵器は、個人のかけがえのない生命を奪う、究極の暴力です。
戦争を決定する者と、その費用を負担する者は同じではありません。政府が軍備を拡張し、兵器を購入し、戦争を遂行するための資金は、税金や国債を通じて人々から集められます。戦争に反対する人も、平穏無事を静か望む人も、自らの労働の成果を国家の暴力に差し出すよう強制されます。
減税は家計の負担を軽くするだけの運動ではありません。国家が人々の財産を際限なく徴収し、軍備と戦争へ動員する力を制限することが重要なのです。国家の暴力を廃止するためには、その暴力を支える財源と権限もまた、廃止しなければなりません。
人の生命と財産が国家の所有物とされることのない社会を。強制と破壊ではなく、自発的な交流によって人々が結ばれる社会を。
リバタリアン減税会は、広島から核兵器の廃絶と戦争の終結を訴える皆さんに、心からの連帯を表明し、メッセージとさせていただきます。
リバタリアン社会主義者連盟
私たち「リバタリアン社会主義者連盟」は、すべての戦争を廃絶する闘いに連帯し、このメッセージを送ります。
81年目の今日、国家と資本がもたらす抑圧と暴力の記憶の前に、私たちは連帯と闘いへの強い意志をここに表明します。国家権力と戦争はいつの時代も、支配者階級の利益のために労働者や市民の命を犠牲にしてきました。あの悲劇を繰り返さない道は、国家や権威に依存した、欺瞞に満ちた「平和」ではなく、国家を廃絶し、個人の自発的な連帯と相互扶助に基づいた社会を築き上げることにあります。
私たちは国境や民族の壁を越え、自由と平等のための闘いを続けていきます。平和とは与えられるものではなく、私たちが自らの手で勝ち取り、守り抜くものです。共に闘いましょう!
リバタリアン社会をめざす青年学生
私たちリバタリアン社会をめざす青年学生は、すべての戦争を廃絶する闘いのために、今回の抗議行動に参加し、このメッセージを送ります。
古代から現代にいたるまで、国家権力の暴力は常に私たち人民を虐げ、災いをもたらしてきました。特に、実行委員会のビラ文〔編集註:「リバタリアン」No.24所収「2026年8.6ヒロシマ抗議行動」を見よ〕にもある通り、19世紀以降、その強制力は加速し続けています。最早、社会の多くの部分が政府統制下にあり、そのような状況下ではほとんどあらゆる事柄の善悪が政府構成員の「匙加減」によって決定されてしまいます。さらに、戦争や核攻撃の評価も社会に属する人民ではなく、政府が代弁しています。国家間戦争や核攻撃が道徳的である、あるいは、道徳的だったということは絶対にありえません。略奪・殺人・傷害・治病は明白な自己所有権の侵害であり、国家間戦争や核攻撃は明白な殺戮行為です。政府がなんと言おうと不正です。
戦争を廃絶するためには、ならず者集団であるすべての政府を廃絶し、誰もが侵害されない社会を築くほかありません。言い換えると、国家主義社会からリバタリアン社会への移行なくして平和は訪れないというのが私たちの信念です。今回の抗議行動以降も、私たちは戦争反対と政府廃止の闘いを続けます。
抗議活動参加者のみなさん、今後も共闘しましょう!
Pryama Diia
This is our statement in support of August 6 Hiroshima Protest Action and those brave people who go to the streets to protest the state and the hypocrisy of Peace Memorial Day.
Pryama Diia stands in solidarity with all the people who struggle against imperialism, whether inside or outside their country.
Be that Russia waging a war in Ukraine, United States’ attack on Iran, Israel commiting genocide in Gaza in collaboration with the United States, year after year we see states profiteering off of war and not caring at all about lives lost or ruined. Many countries who do that claim moral rightiousness due to historically been wronged in some way. Nobody should know it better than Japanese people, especially the citizens of Hiroshima and Nagasaki, whose government continues to exploit the tragedies befallen these cities in order to pretend to celebrate peace.
At the Peace Memorial Ceremony, Japan plans to host representatives of different countries, and invite states such as the United States, Israel, and Russia to participate. It is extremely disrespectful to the victims of the atomic bombing, their families, and their descendants, as well as to the idea of “peace” as a whole. We want to make our position very clear, Pryama Diia considers the mass murder by bombs of Hiroshima and Nagasaki an unjustifiable crime against entire humanity. No amount of strategy excuses can justify the murder of entire cities, torture by radiation and collective generational trauma that followed. Nonetheless, that does not give Japanese state the right to use this collective pain in order to fuel a machine that produces even more pain.
The growth of militarism in Japanese government is extremely concerning for us all. A state that has shown no motivation to even acknowledge severe crimes against humanity in its history, yet seeking to please governments brutalising peoples abroad right now, is not a state that should be militarised. Like Russia, the United States or Israel who continuously use military power to assert dominance over countries they want to exploit – including Japan – and over their own people, Japan represses opposition.
In Ukraine, we do not have peace, yet we dream about peace all of the time. Our people fight against authoritarian rule of a dictatorship. And thus we know that real peace does not come with activist repression. Pryama Diia stands in support every person arrested in Japan for their anti-war, anti-imperialist action and agrees that their arrest is a reprehensible act by a government that has no place to stay in power. We wish your protesters to stay safe, to stay vigilant and to stay strong, because your struggle is for real peace.
〔編集註:Pryama Diia はウクライナの学生団体。直訳は「直接行動」。ホームページ(https://www.priama-diia.org/ )によると、「私たちは、平等とリバタリアンな教育の原理に依拠し、教育の商業化に反対する独立系学生団体です。私たちは民主的で反官僚的構造を保持し、ウクライナの左翼を統合する場を提供します。」とある。なお、以下は柏葉うたすによる訳文である。〕
8.6ヒロシマ抗議行動、そして国家と平和記念日の偽善に抗議するため街頭に出た勇気ある人々を支持し、この声明を送ります。
Pryama Diiaは国内外で帝国主義と闘う全ての人と連帯します。
ウクライナで戦争を起こしているロシア、アメリカのイラン攻撃アメリカと手を組みガザでジェノサイドをしているイスラエルと、来る年も来る年も国家は戦争で利益を得て、失った命や奪った命を顧みません。それを行う国々の多くは、過去に不当な扱いを受けたことを理由に、その行為を倫理的に正当化します。ヒロシマとナガサキに降りかかった悲劇を、政府が平和を祈るふりをするために利用している日本の人々、特に両都市の市民のみなさんは、誰よりもよくご存じでしょう。
平和記念式典で、日本は他国の代表を受け入れ、アメリカ、イスラエル、ロシアのような国家を招待する予定です。これは被爆者、遺族、被爆二世・三世、そして”平和”という概念全体に対して極めて冒涜的です。ここに我々の立場を明確にします。Pryama Diiaはヒロシマとナガサキの爆弾による大量殺戮を、全人類に対する正当化できない犯罪であると考えます。いかなる戦略上の言い訳も、街全体の殺害と、それに続く放射線と集団的世代的トラウマを正当化することはできません。しかしそれは、さらなる苦痛をもたらす機械を動かす燃料としてこの集団的な苦痛を利用する権利を日本国家に与えはしません。
日本政府での軍国主義の伸長は、我々全員にとって極めて重大な懸念です。自らの歴史における人道に対する深刻な犯罪を認めることさえしようとしない国家、それどころか今まさに国外で人民に暴虐の限りを尽くしている政府を喜ばせようとする国家は、軍備すべき国家ではありません。搾取対象の国(日本を含む)や自国民に支配を押し付けるために恒常的に軍事力を使うロシア、アメリカ、イスラエルと同様、日本もまた反対意見を弾圧しています。
ウクライナには平和がありませんが、我々は常に平和を夢見ています。 ウクライナ人民は独裁の権威主義的支配と闘っています。だから我々は、真の平和は活動家の弾圧とは相容れないことを知っています。Pryama Diiaは反戦・反帝国主義活動を理由に日本で逮捕されたすべての人を支持し、彼らの逮捕は権力の座に留まってはならない政府による非難すべき行為であると認めます。あなた方の闘争は真の平和のためのものですから、みなさんが安全に、警戒心を持ち、強くいられることを願っています。
