2023年11月25日に、大阪大学公共政策研究会の招聘により、リバタリアン協会会長の前川範行が同研究会の読書会に参加した。
読書会のテキストは森村進(2001年)『自由はどこまで可能か』であり、前川を含む参加者は章あるいは節を黙読した後に、記述内用について議論等を行った。
また、議論の途上で、前川による補足をいくつか行った。具体的には、①森村氏についての簡単な紹介、②テキストにおける「森村イズム」の特殊性とリバタリアニズムの(緩やかな)普遍性の分別についての注意喚起、③テキストから捨象されているリバタリアン思想史についての補足である。①は、森村氏の職業(研究者であること)や、思想的立場(直観を重視する古典的自由主義者)を紹介した。②は、森村氏の思想が必ずしも多くのリバタリアンのものとは一致しない側面があることを指摘した。特に、森村氏の捉える人格の時間的非同一性(※現在の人格と、長期の将来の人格では、肉体的に同じ存在であったとしても別人格であるということ)や、遺産相続は不当であって死後の財産は無主物であり、その上で、政府が他の税金を徴税するよりも遺産相続に対する課税の法がマシであるという政策的主張(※森村氏は政府の存在を認める論者である)等があてはまる。③は、ページ数に限りのある新書かつ、森村氏が専門の法哲学の学問的手法・関心ゆえに、リバタリアンの歴史が捨象されているため、補足した。特に、リバタリアン思想のルーツ(古典的自由主義と社会主義)や、運動(特にYAF、SDSのような1960年代~70年代の政治運動)について補足した。
参加者らは、熱心に熟読するとともに、疑問の箇所について議論・質疑を行ったため、大変実のある勉強会であったと言えよう。これは、『新しい自由のために』にてマレー・ロスバードが提唱した、リバタリアンの(自己)教育と、強化(結束力のこと)に適った内容であった。
日本国内では、まだまだリバタリアン思想と運動は「後進国」であり、今後も、当協会は催しを開くとともに、他団体の要請があれば人員を派遣し、リバタリアン思想と運動の興隆促進を行います。要請等がある方は、当協会メールアドレスからご連絡ください。
(リバタリアン協会)