私はリバタリアンとして、熊野寮自治への介入を避けない警察・機動隊・国家権力の強制捜査に対して原則的に抗議する。あわせて、読者諸氏に対して、自治に対する警察・機動隊・国家権力の介入を拒否しそれに対する抗議の意を表明することを呼びかける。まずは経緯からである。
2023年7月26日、京都大学熊野寮自治会は、Twitter(@kumanoryo)及び熊野寮HP上において、同年4月30日に京都府警により行われた熊野寮への家宅捜索の現場において、「悪質」とされる取材活動を行った京都新聞社に対する抗議声明文を、同年6月25日に京都新聞社に対して提出し、抗議を行った旨を公表した。同声明文内で触れられているように、本件家宅捜索は、押収された「証拠」の証拠能力が極めて疑わしいものであったこと、日曜日の昼間に不必要に数百人の機動隊を動員して寮生の平穏な生活を侵害したこと、逮捕された寮生が結果的に無罪放免で釈放されたことなど、逮捕から家宅捜索、釈放に至るまでの一連のプロセスのどの部分を取り出しても極めて不適当なものであった。
まず、当声明文中でも述べられているように、「日曜日の昼間に数百人の機動隊を動員して行う京都府警の不必要な家宅捜索は、市民から集めた税金の使途として明らかに不適切で」ある。このような明らかに恣意的な税金の行使は、リバタリアンとして断じて認められるものではない。
加えて、繰り返される警察・機動隊・国家権力による熊野寮への家宅捜索は、強固な自治を実践する熊野寮に対する妨害行為に他ならない。百歩譲って、警察・機動隊・国家権力による熊野寮への家宅捜索に、強固な熊野寮自治に対する妨害・破壊の意図が無いと表明されるとしても、それは現実的には文字通り自治空間に対する権力的な介入に他ならない。その上で、そのような意図がないと表明されたことは一度たりとも無いことから、警察・機動隊・国家権力による熊野寮への介入は、意識的に行われていると考えるのが妥当である。意識的な国家権力による自治解体への傾向に対しては、ただ自治に基づく国家権力への防衛と反撃あるのみである。
また、警察・機動隊・国家権力による熊野寮への権力的介入は通例、国家権力によって「極左暴力集団」と規定されている革命的左翼党派に対する微罪を口実として行われる。今回の家宅捜索も、その例に漏れない。私はリバタリアンとして、共産主義を標榜する党派とは思想的に相容れないが、警察・機動隊・国家権力による革命的左翼党派に対する強制捜査が、熊野寮自治に対する権力的介入を伴うものである以上は、原則としてこれに反対するものである。
(文責:S.K.)